58日くまさん体操指導

 

 

 

今日の体操指導の目的は子供たちと職員に慣れることと体操の種目を通して子供たちの動き(発達段階や姿勢)をよく観察し、子どもたちの動きに合わせた体操を行うことでした。

 

 

 

一種目目の「だるま体操」は、参加者と一緒に動く雰囲気作りや体を左右に揺らすことを通して座位の安定感を育てるために行いました。

 

 

 

子どもたちの様子を見ていると座位が安定している子どもたちは「だるま体操」ができ、座位が安定していない子どもたちは体育座りや足を前に投げ出し体が後傾していました。そのような姿勢だと体を横に揺らす動きはやりたくてもやれないと思いました。そこで、ある男の子に仰向けになってもらい両膝を胸につけるようにチョンチョンと丁寧に揺らすことを試みました。なぜこれを行ったかというと姿勢の偏りは動きやすい方向に動かすと偏りが取れるからです。実際に行った子どもは座位が自立で取れるようになりました。

 

「だるま体操」にこだわらず、まずは子どもたちの普段の姿勢から体を気持ちよく揺らすことで姿勢の偏りが変化することを理解し、現場でも役立てて頂きたいと思います。

 

 

 

二種目目は、長い縄を結んで大きな輪を作り、参加者が縄を持って「振る・持ち上げる・送る」などの運動を行いました。

 

この運動は「握る」という動きの発達度合いが観察できます。「握る」ことは食べることや意思表示をするときなど、生活面で多く使います。このため「握る」動きの発達が未熟な場合、生活面で支障が生じる可能性があります。

 

今回は縄を持っての保持力や片手で縄を持ち反対の手で縄を操作することができるかどうかなどを観察しながら行いました。座位の姿勢が不安定のためと腕を頭上に上げる動きの未発達のため縄を持ち続けることが難しかったり、縄を片手で操作することが難しい子どもたちが見られました。手の過敏さはなかったので回数を重ねることで「握る」動きが発達していくと思いました。

 

 

 

三種目目の平均台と長縄渡りは、設定されたコースを集団で動く雰囲気をつくること。そして二足歩行の安定感と足裏の使い方の観察をポイントに行いました。

 

 

 

子供たちの様子を見ると縄や平均台の感触を足裏で味わう子供たちや不安定なところを歩くので縄や台から落ちないよう体のバランスを取り、そのバランス感覚を楽しんでいる子供たちが見られました。また、体が前傾していたり、ねじれている状態が目立つ子供たちは 、あまりやりたがりませんでした。

 

この様子から、足裏で縄や平均台の感触を味わっている子供たちは足裏の感覚を育てていることやバランス感覚を楽しんでいる子供たちは平衡感覚を育てていることが推測されます。反対に長縄や平均台をあまりやりたがらない子供たちは、偏った姿勢や平衡感覚が育っていないため不安定な場所で歩くことが怖く、そのためやりたがらないようでした。

 

 

 

足裏の感覚やバランス感覚を楽しんでいる子供たちは今日やったことを続けていくと平衡感覚が育ち、歩行が安定してくると思います。歩行が安定すると立位での遊びや作業の集中力が向上してきます。また、長縄や平均台を歩くことを嫌がるお子さんに対しては無理に行わず、長縄や平均台ではなく床の上を皆と一緒に歩くことや金魚体操などをして体の偏りを調整していくこと。二足歩行以前の動き(転がる 四足移動)を行うことで少しずつ不安定なところが怖がらなくなっていくと思います。

 

 

 

今日行った内容は拙著『人間脳の根っこを育てる』(花風社)を参考に行っています。

 

発達の遅れや乳児の時に寝返りやはいはいを抜かして成長したお子さんは(全員ではありませんが)、背骨を垂直に立てた座位や立位時の動作に安定感がなかったり、思ったように動くことができません。そのため座位や立位で行う運動や遊び、作業への集中が難しいこともあります。

 

先ずは子どもたちの生育歴を知ることと今の発達段階を見極めること。そして『人間脳の根っこを育てる』に載っている「脊椎動物の移動様式の変化」「胎児から赤ちゃんの運動発達」の図を参照しながら子供たちが躊躇なく行える姿勢(例 立位が安定しない場合は、立位以前の姿勢=四足、伏臥位など)で普段の活動を行っていくと子どもたちの自立度がグングンと向上していくと思います。